12月は一年でもっとも集客の波が大きい季節です。
しかし、小規模宿泊施設の場合、客室数が限られているため、宿泊だけで売上を伸ばすのは難しい時期でもあります。そんな中、多くの宿で効果が出ているのが、「クリスマスケーキの販売」と「クリスマスディナー企画」です。
とくに地元のお客様を取り込みやすく、宿泊以外の売上が作れるため、“12月の売上の柱の一つ”として取り組む価値は十分あります。ここでは、初めての方でも取り組みやすいように、準備の手順・広告の進め方・注意点をまとめてご紹介します。
✳︎イベント企画のご紹介が遅れていますので、準備の漏れがないか?何か補足できるものがあるか?などのチェックリストとしてお使いください。
1. 12月の売上対策としての位置づけ
小規模宿の場合、クリスマス企画は以下の3つの効果が期待できます。
- 客単価アップ
宿泊の夕食を「クリスマスディナー」にすると、1人あたり1,500〜3,000円ほどアップが可能。クリ スまでの数日間は、夕食をチョイス制にしてもいいですね。 - 地元需要の取り込み
ケーキやディナーはテイクアウト・館内利用いずれも需要あり。
“地元の常連さんづくり”にも役立つ。 - 12月の収益ブレを平準化
降雪・寒波・交通状況によるキャンセルのダメージを軽減できる。
地元のお客様を対象にして、宿泊+食事だけに依存しない「売上の複線化」ができるため、
小規模宿にとって非常に相性のよい販促です。

2. 企画づくりの基本ステップ(初めてでも迷わない)
① メニューとセット内容を決める(11月初旬)
- ケーキは ホール1種+カップデザート1〜2種 が扱いやすい
- ディナーは クリスマス限定のワンプレート or 2品追加 程度で十分
- “無理をしない構成”が小規模宿では成功の鍵
- 写真映えする食材を1つ入れる(ローストチキン・地元野菜のテリーヌ等)
② 数量(上限)を決める
ケーキはつい作りすぎるとロスが出ます。
初年度は 20〜40台程度 が目安。
ディナーは 宿泊数に連動+地元客10〜20人分 が目安です。
基本的には予約販売 事前予約によって生産ロスをなくす、外注の場合も予約発注で価格交渉に臨むことができます。
③ 予約方法を決める
- 電話
- 公式サイトの専用フォーム
- LINE公式アカウント
- フロントでの店頭予約
とくに年齢層の高いお客様には 電話 が今も最強の手段です。
④ スケジュールを組む(図表にすると分かりやすい)
- 11/1 企画決定
- 11/10 写真撮影
- 11/15 チラシ・SNS告知開始
- 12/20〜23 仕込み
- 12/24・25 提供日
この時期は仕込みが重なるため、
「絶対にやらない日」 を最初に決めておくとスタッフが混乱しません。

3. 広告・宣伝の進め方(小さな宿でもできる方法だけ)
■ 店頭チラシ(A4・1枚)
- 年齢層の高い地域客へ最も響く
- ケーキとディナーの写真を大きく
- 価格・予約方法・受取日時を明記
■ SNS(Instagram・Facebook)
- 写真1枚だけでもOK
- テキストは短く
- 「手づくり」「数量限定」が刺さりやすい
- 投稿タイミングは 11月中旬〜12月23日まで毎週1回
■ 自社サイトへの掲載
宿の公式サイトに
「12月のご案内」ページ を作るとSEO的にも有利。
Googleは“季節イベント”に関する情報を評価する傾向があるため、
検索流入が増えるケースも多いです。

4. 当日のオペレーションを軽くする工夫
- ケーキの受け渡しは 時間帯予約制 で混雑を回避
- ディナーの前菜は 前日にまとめて仕込む
- 宿泊のお客様には 事前にアップグレード提案
(メール・LINEで案内すると高確率で受注)
とくにクリスマスは集中しやすいため、
“最初から余裕のあるオペレーションを作る”ことが成功に直結します。
5. 来年に必ずつながる「振り返りノート」
クリスマス企画は毎年行うイベントなので、
今年うまくいった点・苦労した点・売れた時間帯 を残しておくと、
翌年の準備が一気にラクになります。
- 予約のピーク日
- 売れた商品(ケーキ/ディナー)
- 仕込みのペース
- チラシの反応
- SNSの反応
- スタッフの動線で混雑した場所
「今年の記録」は、来年の売上そのものをつくる“資産”になります。

まとめ
12月は宿にとって大きなチャンスの月です。
クリスマスケーキやディナーの販売は、
宿泊客だけでなく、地域のお客様を巻き込んで売上を作れる便利な企画です。
難しく考える必要はありません。
できる範囲で、無理のない構成 でスタートしてみてください。
1〜2年続けると、毎年リピーターがつき、
“12月は自然と売上が上がる季節” へ変わっていくはずです。
あなたの宿の12月が、温かく、にぎやかなひと月になりますように。
ぜひ今年のクリスマスから取り組んでみてください。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
日々のおもてなし、本当にご苦労さまです。
どうぞご自愛のうえ、これからも素敵なお宿づくりを続けてください。
皆さまの宿が、たくさんの笑顔と再会に満ちた「千客万来のお宿」になりますように。
