お客様に「また泊まりたい」と思っていただける宿には、共通する“あたたかさ”があります。
それは高級な設備でも豪華な料理でもなく、人の心が伝わるおもてなしです。
小さな宿だからこそできる工夫を、いくつかご紹介します。

1.「最初のひと言」で心をつかむ
チェックインの瞬間、お客様の心はまだ“旅の緊張”の中にあります。
そこで大切なのが、最初のお声がけです。
「ようこそお越しくださいました」「長旅お疲れさまでした」
このひと言に宿の“温度”が現れます。
笑顔と一緒に、心からの言葉を添えるだけで、安心感が生まれます。
2.お客様の名前を呼ぶと“特別感”が伝わる
夕食のとき、あるいは朝の出発時に
「〇〇様、昨夜はよくお休みになれましたか?」
と名前を呼んで声をかけるだけで、お客様は“自分が覚えられている”と感じます。
小規模宿の魅力は、こうした人と人の距離の近さにあります。
3.滞在中の「気づき」が思い出になる
・雨の日に、玄関にタオルを用意する
・冷えた夜に、湯たんぽを先に入れておく
・連泊のお客様に、献立を少し変えて出す
こうした“さりげない配慮”は、マニュアルではできません。
お客様が「気づいてくれた」と感じた瞬間、それが記憶に残るおもてなしになります。

4.別れ際の「ひとこと」が次の予約につながる
チェックアウトのときは、再訪のチャンス。
「紅葉の時期もきれいですよ」「またお会いできる日を楽しみにしています」
と自然に伝えることで、次の旅を想像してもらえます。
この“別れ際の会話”こそ、リピーターづくりの第一歩です。
5.心に残る「サンキューレター」のすすめ
宿を出たあとも“おもてなし”は続きます。
手書きの**お礼状(サンキューレター)**を送るだけで、宿の印象はぐっと強くなります。(チェックインまたはチェックアウト時にハガキをお送りしてもいいかどうか確認を取っておきましょう)
・チェックアウト翌日に「ご宿泊ありがとうございました」の一枚を送る
・写真付きのハガキで「また季節を変えてお越しください」と伝える
・連泊客には「次回ご利用時の特典案内」を添える
文章は短くても構いません。大切なのは、その方のために書かれた一枚であること。
お礼状は、お客様の心に“もう一度泊まりたい理由”を残してくれます。


6.まとめ:おもてなしは「心の記録」をつくること
また来たいと思われる宿は、宿泊体験の中に“人の記憶”が残る宿です。
笑顔・言葉・気づき・はがきや手紙—どれもコストをかけずに始められる工夫です。
おもてなしは、一度きりの滞在を「つながり」に変える力を持っています。
日々の接客の中に、「もう一度会いたい」と思われる瞬間を増やしていきましょう。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。日々のおもてなし、本当にご苦労さまです。
どうぞご自愛のうえ、これからも素敵なお宿づくりを続けてください。
皆さまの宿が、たくさんの笑顔と再会に満ちた「千客万来のお宿」になりますように。
Ryoukan


