「OTA(宿泊予約サイト)と自社サイト、どちらを重視すべきか?」
この問いに、明確な“正解”はありません。
ただし、宿の規模(客室数)やリピーター比率によって、最適なバランスは変わります。今回は、小規模旅館・ホテルの視点で「規模別・集客戦略の正解」を整理してみましょう。

1.まず知っておきたい、OTAと自社サイトの役割
OTA(じゃらん、楽天トラベルなど)は全国から幅広い顧客を集められる「集客の入り口」です。
ただし手数料が10〜15%かかり、価格競争に巻き込まれやすいのが弱点。
一方、自社サイトからの予約は手数料ゼロで、顧客情報を直接得られます。
サイトへのアクセスをどのように集めるかという課題はありますが、自社サイトでは
宿の個性や女将のこだわりを伝えやすく、リピーター化につながりやすいのが魅力です。
つまり──
- OTA:新規顧客を広く集める“窓口”
- 自社サイト:ファンを育てる“リピート導線”
この2つをどう組み合わせるかが、集客のカギになります。
2.客室数25室前後の宿:OTAと自社サイトの“二刀流”戦略
25室前後の宿は、集客規模がある程度あり、OTAも自社サイトも両方活かす二刀流型が理想です。
💡戦略のポイント
- OTAは新規客の入口として活用
プランや写真を定期的に更新し、シーズンごとの特集に積極的に参加しましょう。
露出を維持しながら、新規のお客さまを継続的に獲得します。 - 宿泊後に“自社予約”へ誘導
チェックアウト時やお礼メールで「次回は公式サイトからの予約で特典あり」と案内。
LINE公式やメルマガで季節情報を配信し、リピートを促します。 - 公式サイトの改善も欠かさない
スマホ対応や予約導線のわかりやすさ、特典ページの設置など、
“使いやすい・信頼される”サイトを目指します。
この規模の宿はOTAの影響力を上手に使いながら、自社予約比率を40〜50%に引き上げるのが目標です。

3.客室数10室前後の宿:人の温かみを生かした“自社予約重視”型
10室前後の小さな宿では、スタッフ数も限られ、OTAの大量対応は負担になりがち。
この規模では、リピーターづくりを中心にした“自社予約重視”戦略が効果的です。
💡戦略のポイント
- OTAは最低限の掲載でOK
メインは1〜2社に絞り、“存在を知らせる広告”として使います。
すべてのプランを掲載せず、「人気プランのみ」に限定するのも手です。 - 自社サイト・電話・LINE予約を強化
小規模宿では、お客さまとの会話そのものが販促になります。
顔が見える対応で安心感を与え、口コミにつなげます。 - 滞在後の関係づくりを大切に
お礼状・DM・SNSでの交流など、「また行きたい」と思わせる仕掛けを。
四季折々の季節の変化や宿の近況をニュースレターで伝えられればグッドです。リピーターが3割を超えると、安定経営にぐっと近づきます。
4.まとめ:宿の個性を生かした“バランス経営”を
OTAも自社サイトも、どちらかを“選ぶ”ものではなく、“使い分ける”ものです。
客室数25室前後なら「二刀流戦略」、10室前後なら「自社予約重視型」。
宿の規模とスタッフ体制に合わせて、最も無理のない集客バランスを見つけましょう。
そして何より大切なのは、お客さまとの距離を近づける工夫です。
OTA経由であっても、滞在中の対応やお礼のひとこと次第で、
次回は「直接予約します」と言ってもらえるチャンスが広がります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
日々のおもてなし、本当にご苦労さまです。
どうぞご自愛のうえ、これからも素敵なお宿づくりを続けてください。
皆さまの宿が、たくさんの笑顔と再会に満ちた「千客万来のお宿」になりますように。


