【利益率改善-1】「宿泊代は上げられるが、宴会代は上げられない」—30年の現場で見つけた価格決定の分岐点

販促の現場から経営を考える

こんにちは。販促コンサルタントのRyoukanです。

私は30年以上、販促の最前線で「どうすれば売れるか」「どうすれば利益が残るか」を考え続けてきました。マーケティングの理論を語る人は多いですが、私のスタイルは少し違います。経営者が持つ「シーズ(資源・想い)」と、お客様が抱く「ニーズ(欲求)」を脳内で戦わせ、その火花が散った瞬間に、デザインまでを一貫して組み立てる。これが私の現場流です。

今日から5回にわたり、私が実際に販促室での勤務中に経験した「利益率改善」の物語を通じて、小規模宿泊施設のオーナーさんが今すぐ実践できる「価格と心理の法則」をお伝えします。

営業会議での「衝突」

それは、ある地方都市の宿で販促室に勤めていた時のことです。私は利益率を改善するため、一つの大胆な提案をしました。

「宿泊の定番プランを、一律10%値上げしましょう」原価は据え置きですから、この10%はそのまま純利益になります。当然、会議はざわつきました。「客が離れるのではないか」という不安です。しかし、私の読みは少し違いました。

その時、厨房を仕切る料理長がこう言ったのです。「それなら、地元客向けの宴会料理も一緒に1,000円値上げしましょう。宿泊だけ上げるのはもったいない」

私は即座に、そして断固としてその提案は否定しました。「料理長、それは止めましょう。宴会料金を上げたら客は来なくなります」

なぜ、宿泊は上げてもいいのに、宴会はダメなのか?ここに、商売の成否を分ける「顧客心理の急所」が隠されています。

宿泊料理

「比較の土俵」を読み間違えるな

結論から言いましょう。価格を上げられるかどうかは、原価が高いか低いかではなく、「お客様が他と比較しやすいかどうか」にかかっています。

まず、宿泊客を想像してみてください。

遠方から来る観光客にとって、宿泊代の1,000円や2,000円の差は、旅費全体から見れば「誤差」に近いものです。彼らは「八戸で、この雰囲気で、この料理が食べられる宿」という独自の価値(シーズ)を探しています。全国の宿と比較はしますが、最終的には「その宿にしかない体験」に納得すれば、多少の価格差は問題になりません。

一方で、地元の宴会客はどうでしょうか。

彼らは地域の競合店を熟知しています。「あっちの店は飲み放題付きで5,000円だった」「去年は4,500円だった」という明確な比較基準を持っています。地元客にとっての500円アップ、1,000円アップは、単なる値上げではなく「他店と比較して割高になった」という明確な拒絶理由になるのです。

価格設定の要素

経営者の「シーズ」と顧客の「ニーズ」を戦わせる

私は料理長にこう説明しました。

「宿泊は『旅の思い出』という非日常を売っています。だから比較の土俵が広い。しかし、宴会は『地域の相場』という日常の延長線上で戦っています。ここで相場を無視すれば、【リーズナブルでおいしい料理を提供してくれるホテル】という評判を自ら手放すことになります」

料理長は、最初は渋い顔をしていましたが、この「土俵の違い」を説明すると、なるほどと納得してくれました。

販促とは、単にチラシを作ったりSNSを更新したりすることではありません。

・自分の商品は、お客様の頭の中で何と比較されているのか?
・その土俵において、価格を上げる正当な理由は示せているか?

このチェックができていないまま値上げをすれば、客足は遠のきます。逆に、ここさえ押さえれば、利益率は魔法のように改善します。

さて、宿泊代の10%値上げを決めましたが、ただ「値上げします」と告知したわけではありません。そこには、お客様が不満を抱くどころか、喜んで高い方を選んでしまう「3段構えの仕掛け」を準備しました。

次回は、その具体的な「価格構成のテクニック」についてお話しします。第2回タイトルは、【客に抵抗させない「3段構え」の魔法——利益率を最大化する価格構成の作り方】です。

【今回の販促の格言】

「価格は原価で決めるな。お客様の「比較の物差し」と「価値」で決めろ」

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最後までお読みくださり、ありがとうございました。
日々のおもてなし、本当にご苦労さまです。
あなたの宿が、たくさんの出会いと再会に満ちた「千客万来のお宿」になりますように。
どうぞご自愛のうえ、これからも素敵なお宿づくりを続けてください。

メールでの無料相談も承っております。お気軽に声をかけてください。

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