小さなホテル・旅館が実施すべきマーケティング対策を、具体的な手法を提案しながら解説しています。
小さなホテル・旅館のための「やさしいマーケティング対策」
売上げをアップする3つの構成要素である「集客」「リピート」「客単価」を軸に、小さな宿でもすぐに取り入れやすいマーケティングのヒントをまとめました。難しい専門用語はなるべく使わず、日常の言葉でわかりやすくお伝えします。
なお、ここで紹介するのはあくまで全体像です。具体的な施策の詳細や実践のコツは、以下の5つのテーマについて私の実践経験をもとに、今後シリーズ記事で少しずつ掘り下げていきますので、ぜひ合わせてご覧ください。

1,集客数アップ(新規のお客さまを増やす)
集客数アップとは、新しいお客様を呼び込み、宿の魅力を知っていただく最初のきっかけをつくることです。ポイントは「誰に来てもらいたいのか」「どんな体験を提供できるのか」をはっきりさせること。つまり、数ある宿の中から「ここに泊まりたい」と思ってもらえる理由をわかりやすく伝えることが重要です。
地域の魅力を活かしたプラン、SNSや口コミでの情報発信、予約時に心をつかむ写真やキャッチコピーなど、入り口となる仕掛けを多面的に整えることで、新規顧客を着実に増やしていけます。

地域Xテーマで狙いを定める
「地元×近隣エリア」をテーマにしたキャンペーンは、週末利用のお客様にアピールできます。わかりやすい来館動機や集客効率の良さから言っても、この「地元X近隣エリア」の見込み客は最大のターゲットです。
SNS、Googleビジネスプロフィール、地域ポータル、チラシやミニコミなどを使って、半径2時間圏内のお客様にアピールしましょう。
例えば、以下のような体験パッケージ化もおすすめです。
・温泉+地元ワインの試飲
・星空鑑賞ツアー
・和朝食付きワークショップ
こうした“旅行の目的がはっきりするプラン”は、検索にも強く、予約につながりやすいですよ。
SNSと連動したプロモーション
Instagramで「#〇〇温泉リゾート」タグをつけて投稿してくれた方に、ドリンク券や朝食無料券をプレゼント。
また、TikTokやYouTubeショートで料理・客室・自然の雰囲気を30秒動画で発信するのも効果的です。コストのかからない小さなプレミアムキャンペーンなどは、日常的に情報発信ができれば理想です。
“行きたくなる空気感”を画像や映像で伝えていきましょう。

集客アップに関する詳細情報はこちらからご覧いただけます。https://iiyado-hanjouki.com/increase-in-customer-numbers/
2,リピート率アップ(ファンを増やす)
リピート率アップとは、一度宿を訪れたお客様に「また来たい」と思っていただく仕組みをつくり、固定ファンへ育てていくことです。新規集客に比べてコストが低く、安定した収益基盤を築ける大きな要素となります。
次回予約を促す特典や季節ごとの案内、スタッフの心のこもったフォローなど、小さな工夫の積み重ねが「また会いたい」「また泊まりたい」という感情につながります。一度来てくれた方を「もう一度呼び戻すための仕掛けづくり」が大切です。

LINE公式アカウントを活用
宿泊後1週間以内に「お礼メッセージ」と「次回予約クーポン」を送るだけで、再訪率がぐんと上がります。
さらに、誕生日や記念日のメッセージを送ることで「また行きたい理由」を作れます。
常連さんを大切にする仕組み
スタンプカード(5回宿泊で夕食グレードアップ)
地元特産品が当たる抽選付きDM(紙媒体は反応が良い)
「また泊まりたい」と思ってもらうきっかけを、いくつも用意しておきましょう。

リピート率アップに関する詳細情報はこちらからご覧いただけます。https://iiyado-hanjouki.com/increased-repeat-customer-rate/
3,客単価アップ(収益を増やす)
客単価アップとは、宿泊料金だけでなく、館内での追加サービスや体験を通じて「一人あたりの売上」を増やす取り組みです。単に高価格を設定するのではなく、滞在をより豊かに感じてもらえる提案を重ねることで、自然に価値を感じてもらえる仕組みを作ります。
食事のグレードアップや地元体験ツアー、特別な記念日の演出など、お客様が「ここでしか味わえない体験」と感じる要素を組み込むことで、喜ばれながら収益を伸ばすことが可能です。ただ泊まっていただくだけでなく、滞在をもっと楽しんでもらいながら収益を増やしていきましょう。

アップセル・クロスセル
夕食時の地元ワインのペアリング(+3,000円)
レイトチェックアウト(+2,000円)
体験ツアー•アクティビティ販売(地元提携業者とシェア)
“せっかくなら”と思わせる提案がポイントです。
季節イベントの企画
春は花見懐石、夏は星空ナイトツアーとBBQ、秋は紅葉ライトアップと地酒、冬はかまくら鍋体験と甘酒。
「期間限定の特別感」があると、価格を少し上げても納得してもらえます。

客単価アップに関する詳細情報はこちらからご覧いただけます。https://iiyado-hanjouki.com/increased-average-customer-spending/
4,ブランド力の強化(差別化)
ブランド力とは、顧客の心に築かれる「信頼・好感・イメージ」の総合的な価値です。単なるロゴやデザインだけでなく、宿泊体験や接客、細やかな気配りの積み重ねによって育まれる「信頼の資産」といえます。
強いブランドを持つ宿は、価格競争に巻き込まれることなく、安定的にファンを増やすことができます。その背景には「USP(独自の強み)」と呼ばれる、他にはない特徴がしっかり存在しています。

「この宿だから泊まりたい」と思ってもらうためには、宿の歴史やストーリー、コンセプトを通じてUSPをわかりやすく伝えることが大切です。ほかにはない魅力を見つけ出し、USPとして明確に打ち出しながら磨き上げていきましょう。以下はUSPの一例です。
- 「毎朝女将が仕入れる旬の味。できたてを一番美味しい瞬間に提供します。」
- 「渓谷を一望できる露天風呂。夜は満天の星空を独り占め。」
- 「100年続く秘伝の出汁。食べれば記憶に残る郷土の味。」
宿泊後には「Googleマップでの口コミ評価」をお願いして、星4.5以上を目指しましょう。
口コミは新規集客にも直結します。

ブランド力の強化に関する詳細情報はこちらからご覧いただけます。https://iiyado-hanjouki.com/strengthening-brand-power/
5,費用対効果の追求(無駄なく成果を出す)
小さな宿のマーケティングでは「限られた予算で最大の成果を得ること」が重要です。広告・販促・サービス改善にかけたコストが、どれだけ新規顧客やリピーター増加、売上向上につながっているかを数値で把握しましょう。記録を残すことで対策が考えられます。
データをもとに効果的な施策へ資源を集中させれば、無駄な支出を抑えつつ、確実に成果を積み重ねることができます。集客や販売促進などあらゆるキャンペーンを、成果を追求する実験と思って取り組んでいきましょう。

成果指標(KPI)の設定
宿泊予約件数、問い合わせ件数、Web訪問数、メール開封率など。感覚ではなく数値で判断。
小さく試して検証する
いきなり大規模にせず、まずは小規模で実施 → 成果があれば拡大。
固定費と変動費を分ける
HP運営など「必ず必要な固定費」と、広告出稿など「変動費」を分けて考える。
無料または低コスト施策を基盤に据える
SNS投稿、Googleビジネスプロフィール、口コミ返信、自社HP更新など。
時間コストも考慮する
「費用=お金」だけでなく「時間と労力」も含めて評価する。
👉 まとめると、「費用対効果の追求」とは単なる節約ではなく、投資の成果を可視化し、無駄を省いて効果的なものに集中する姿勢です。

ブランド力の強化に関する詳細情報はこちらからご覧いただけます。https://iiyado-hanjouki.com/pursuit-of-cost-effectiveness/
まとめ
マーケティングと聞くと、難しくてお金がかかるイメージがあるかもしれません。
でも実際は、日々の小さな工夫の積み重ねです。
今回ご紹介した内容は、あくまで「全体像」です。
これからブログ記事で、「どうやってやるのか?」「どんな例があるのか?」をシリーズで詳しくご紹介していきます。また、チラシやSNSのデザインサンプル原稿もご紹介していきますのでご期待ください。
まずはできそうなことを一つ選び、小さく始めてみてくださいね。